先日、ある人と一緒にようやく念願のマップを完成させました。松江のまちの話ではありませんが、完成がすっごく嬉しかったので誰かに見てもらいたいなぁ、と思いました。この場を借りてご紹介させてください。これは、渡り鳥のカセイが松江に飛来する前から続いていたお話です。
「サロベツ原野パンケ沼の木道マップを作ろうと思っているのだけど、かせいちゃん、イラストを描いてみない?」と、パンケ沼のほとりに住むおていさんからお誘いがあったのは、もう二年以上も前のこと。湿原の草花鳥を載せた木道マップを作ると聞いてわくわくしたこと、お世話になったサロベツへ何かお礼をしたかったこと、そして何より大好きなおていさんが私に声をかけてくださったことが嬉しくて、「私でいいんですか・・・」ともじもじ照れ隠しをしながらも、「やらせてください」とお返事しました。
パンケ沼の木道は数キロに及び、細い木道の脇にはたくさんの草花、鳥、虫、風景が見られます。マップに何を入れるか決めるのは一苦労でしたが、数十種類くらいに絞り、イラストを描いていくことに決めました。描き始めて改めて実感したことは、私はひどく凝り性だということです。
それに、描くということには写真にはない難しさがあります。正確さには注意しなければなりません。もともとスケッチは早くありません。その上に細かいところの色合いやかたちが気になったりして、それはもう、時間がかかりました。
私がイラストを描いている間、おていさんは根気よく待ってくださいました。ようやく完成したイラストを送って、一年ちょっと経った先日、楽しみにしていたマップの完成品が届いたのでした。私のイラストのひとつひとつに、木道を通じてサロベツの四季を見守り続けているおていさんの素敵なキャプションが添えられていました。イラストの配置や全体の構成も丁寧で、調和とあたたかみが感じられました。
「木道沿いの草花や生き物を紹介するマップなので、ピンポイントでココでそれが見られるというふうに特定するのは難しい。でも手に取った人が、原野の自然に惹かれてその懐の中に入っていきたくなるようなマップにしようと思った」と、おていさん。
見つめていると、確かにサロベツ原野の自然の調和そのものが感じられてきて、自分の作ったマップを手に、もう一度、あの木道を歩いてみたいと思いました。
おていさんは、編集・印刷の会社の方と、何回も構成を練ったそうです。そして、マップを発行するにあたって利尻礼文サロベツ国立公園を管轄する自然保護官事務所ともたくさん相談したそうです。私のイラスト描きが終わってからも、おていさんが非常に尽力されていたこと、たくさんの方の協力があったことを知りました。
マップづくり。私にとってもおていさんにとっても初めての経験でした。そのため、試行錯誤がたくさんありました。その分、完成の喜びはひとしおです。
山や森林といった変化がある場所とは違い、原野は茫漠としていて掴みどころがないとよくいわれます。原野の自然を楽しむコツやきっかけを知らない人たちの中には、何もないと戸惑ったり、がっかりしたりする人もたくさんいます。
でも、サロベツ原野の真の姿は雄大な利尻山から小さな草花に至るまでこんなにも生き生きしている!!
少しでも多くの人がこの木道マップを道標にサロベツ原野の散策を楽しんでくださることを願っています。
※「サロベツ木道マップ」の設置場所は今後、関係者の間で話し合われます。