松江に飛来したかせいじんの思いつくまま雑記帳

 わたくし、生まれと育ちは、長野県長野市。
19で京の都にのぼり、23で北の大地に渡り、苫小牧→札幌→釧路を経て、日本最北の稚内に辿り着いた末、29の春に北の海のとどろきに見送られながら、遥かな空の道を通って、ここ松江に降り立ちました。人呼んで『渡り鳥のカセイ』と発します。
 松江にやってきて2年と2ヶ月。縁あって、NPO法人まつえ・まちづくり塾の事務局員としてお世話になっております。
今までは、自然環境系の畑にいたため、『まちづくり』は全く未知の分野。しかし、『まちづくり』とは、人が集まり、生活するところのことであれば、あらゆる面からのアプローチが可能な包容力のある概念だと感じるこの頃。
そこが『まちづくり』の魅力であり、いかによい『まちづくり』のやり方を見つけるかのセンスが光る腕の見せどころなのだと塾の皆さまの活動を見ていて思うのであります。
 ところで、わたくし、ルーツが自然環境系ということがあって、自然との調和が保たれたまちづくりに憧れるのであります。ですから、松江のまちにラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録された湿地が二つ(宍道湖・中海)もあることは本当に素晴らしいと思うのであります。水鳥の多くは国境を越えて旅をする渡り鳥たち。彼らは秋から冬にかけて松江周辺にやってきて、春の訪れとともにユーラシア大陸北部へと帰っていきます。彼らの何千キロにも及ぶ空の旅の途中に、もし宍道湖や中海のような湿地が存在しなかったら・・・!
そんなことになっちゃあ、おしめぇよ・・・。
彼らは安全な着地を行うこと、安全に地上で翼を休めること、十分な食料を確保することが全てできなくなるため、その飛行はもとより、生存ですら保証されなくなってしまうのであります。ある偉い鳥類学の先生が、「湿地は渡り鳥にとって国際空港である」と喩えたそうですが、宍道湖や中海はまさにそれなのです。さすが『国際渡り鳥飛来都市・松江』であります!
 実はわたくし、ラムサール登録地にはとても縁があるのであります。先にお話しましたさすらいの途中、苫小牧ではウトナイ湖、釧路では釧路湿原、そして稚内に暮らした頃にはサロベツ湿原というラムサール登録地と関わりを持ってきました。
わたくし、渡り鳥とともに移動してきたのです。これが、わたくしが 『渡り鳥のカセイ』と呼ばれる所以なのであります。
さすらいの旅をやめ、長く過ごすことになるであろう松江に、かつてわたくしが青春を過ごした遥か北の湿原から渡り鳥たちが毎年変わらずに元気な姿を見せてくれること、そして春にはわたくしの想いを乗せて無事に北に帰って行ってくれること、これが私の願いなのであります。
渡り鳥のカセイ
(注:この口調を続けるのは大変なので一回のみです。)
 キンクロハジロ

 

北海道の湿地でも宍道湖・中海でもお馴染みなキンクロハジロ(晩秋から冬にかけてたくさんやってきます)

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